第44回日本コミュニケーション障害学会学術講演会は,2018年5月12日(土)~13日(日)に,神奈川県相模原市の北里大学相模原キャンパスで開催いたします。多くの皆様にお越しいただきたくご挨拶申し上げます。
まず,予定しているプログラムをご紹介いたします。
特別講演では,新進気鋭の思索家,伊藤亜紗先生(東京工業大学リベラルアーツ教育院)にご講演をお願いしています。ご著書の「目の見えない人は世界をどう見ているのか」には,視覚障害者が目の見える人たちと絵画鑑賞をする「ソーシャル・ビュー」が紹介されています。これは,絵画の鑑賞をするときにことばを使ってコミュニケーションすることで,さまざまな考えを共有する体験のことです。このようなことから,ことばについて改めて考えを深めるよい機会となりそうです。
教育講演1では,現代の日本の「超高齢化社会」という問題に,聴覚の保障という点から切りこむご講演を,佐野肇先生(北里大学医療衛生学部)にお願いしています。聴覚障害領域では,高齢者の認知症の補聴が認知症の予防につながるということがトピックとなっています。障害の予防という点からも興味深いお話が伺えると期待しております。
教育講演2では,日常の臨床で生じた疑問点をどのように研究へつなげていくのかという我々臨床家の悩みに答えていただくご講演を,鈴木牧彦先生(元北里大学一般教育部)にお引き受けいただきました。鈴木先生は長らく言語聴覚療法学専攻の学生の心理学測定法や学習認知心理学の授業をご担当いただき,言語聴覚士の仕事を深くご理解いただいております。熱いハートを持った臨床家たちに,クールな研究への道をお示しいただけることでしょう。
実践セミナーでは,山本直史さんと高橋宜盟さんというAACの専門家の二人がタッグを組んで,最新の機器から透明文字盤までのローテクを,患者様に合わせてどう使っていくのかについて分かりやすく教えてくださる予定です。
ハートフルトークは,ご自身が小児領域のSTであり,低出生体重児の母でもある山本実菜さんが,日々の子育ての中で感じたことを話してくださいます。気管切開をしている子どもさんの言語発達をどう促していくのかについて日々工夫を重ねていらしたことは,きっと聞く方の深い共感を呼ぶと思います。
本学会は、コミュニケーション障害の領域を限定せず、かつ会員の職種を限定しない、日本で唯一の全国規模の学会です。様々な背景を持つ参加者同士で有意義な意見交換ができるのではと期待しております。学術講演会初日の夜には、会場の大学内で懇親会を行う予定です。参加者皆さまのご親睦を深めていただけますと幸いです。
神奈川県は,古都鎌倉や湘南の海,横浜中華街など見処・食べ処も尽きません。学術講演会の研鑽後のエンジョイタイムもどうぞお楽しみください。
皆さまのご期待に応えられますよう,これから事務局一同準備をしてまいります。皆さまのご発表およびご参加を心よりお待ち申し上げております。
第44回日本コミュニケーション障害学会学術講演会会長
北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科言語聴覚療法学専攻
石坂 郁代